蜮(ヨク)
中国に伝わる怪物、妖怪、または怪虫の一種。蜮は、後漢の光武帝の時代に、長江や揚子江に出現した怪物である。蜮は、砂を口に含んで、それを人めがけて吹きかける。この蜮が吹きかけた砂に人が当たってしまうと、当たってしまった人の筋肉が引きつり、その後、頭痛と発熱の症状が現れ、ひどい時には、その様になった人は死んでしまう。この蜮は、常に長江や揚子江の水中にいる怪物で、人間が川岸の上や川の水上を通過すると、口に含んだ砂を、川岸や川の水上にいる人間の体若しくは、その人間の影めがけて吹きかける。蜮の吹きかけた砂を、体はもとより、影に当てられてしまっても、その人間は病気になってしまうという。この蜮の吹きかけた砂が命中した人間の10人中、6、7人は死んでしまったという。この蜮は、羽を持つ甲虫の様な姿をした怪物であるという。また別の説では、蜮は、三本脚を持った鼈に似た姿の怪物であるとも、三本脚を持った大亀の姿をした怪物であるとも言われている。この蜮は、長江や揚子江の水中で男女が水浴をした時に、そのまま水中で男女が戯れあった際の淫乱の気が怪物となったものであると言われている。ある人が、蜮を捕らえて、その蜮の体を引き裂いてみると、蜮の肉から石や砂が出てきたという。
出典:
幻想動物の事典
プロメテウス
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)
作者ひとこと:
蜮のデザインは、8本脚の虫の様な姿の怪物に描きました。
0 件のコメント:
コメントを投稿