井の頭池の主(イノカシライケノヌシ)
井の頭池(東京都三鷹市)の主で、大きな白蛇だともいわれる。「井の頭」という呼び方は徳川家光による命名と語られており、命名以前は「七井の池(なないのいけ)」または「神箭の水(しんせんのみず)」などと呼ばれていた。「神田御上水井之頭弁財天略縁起(かんだごじょうすいいのかしらべんざいてんりゃくえんぎ)」には、源氏の祖である「六孫王経基(ろくそんおうつねもと)(源経基(みなもとのつねもと))」が武蔵国にいたころに弁財天の霊夢を見たのが、この池に弁財天を祀った由来である(「三鷹の民俗 七 井の頭」)と記しているが、それとは別に、この地に住んでいた子供のない馬方が、弁天様に願掛けをして授かった娘が池に入り、白蛇となったとも語られている。授かった娘は成長後に「お礼参りをしたい」と池にやって来たが、白蛇となって池に入ってしまった(「三鷹の民俗 六 下連雀」)という。馬方ではなく「さんねさん」という長者の娘で、池に入って白蛇になったのは4月8日であるとも語られている(「武蔵井の頭池の伝説」)。井の頭公園は「やきもち弁天」とも呼ばれており、恋人同士で行くのは良くないと語られたりもしている(「三鷹の民俗 七 井の頭」)。
出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)
作者ひとこと:
井の頭池の主のデザインは、女性の頭と蛇の身体を持った人頭蛇体の姿に描きました。
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