自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2021年3月16日火曜日

「マリア・マキリン」


マリア・マキリン

フィリピンに伝わる精霊、または女神。マリア・マキリンは、フィリピン北部ルソン島中部にあるラグナ州にある「マキリン山」という山を守護する精霊である。マリア・マキリンは、艶めかしく美しい容姿の女性の姿をしており、このマリア・マキリンは自分が守護しているマキリン山に住んでいると言われている。マリア・マキリンは優しい性格をしており、人間を助ける事も多くあった。ある時、マキリン山の麓に住んでいる農夫の子供達が病気に罹ってしまった。子供達の父親はマキリン山に住んでいるマリア・マキリンに助けを乞うと、マリア・マキリンは父親に、生姜が沢山入っている「ビラオ(竹などで作られた大振りの器。米に混ざったゴミや石を取り除く篩や、料理を乗せる大皿として使われる)」を手渡した。父親はそれを持ち帰って、家で見てみると、ビラオに入っていた生姜は全て金塊になっていた。また、マリア・マキリンは美しい女性の姿の精霊であった為、人間の男性の求婚者も多かった。中でもスペイン人軍人の「ララ大佐」、マニラの学校に通っているメスティーソ(フィリピン人とスペイン人の混血)の学生「ホセリート」、そして農夫の「フアン」の3人は特にマリア・マキリンへの愛が大きかった。しかし、当のマリア・マキリンは、草木や動物達を愛する農夫のフアンを愛していた。やがて、ある満月の夜にマリア・マキリンは自分を愛してくれている男性達を全員マキリン山へと集めて、自分が愛しているのはフアンであると皆に告げた。恋に敗れたララとホセリートはひどく落ち込み、やがてマリア・マキリンの愛を得たフアンをひどく憎悪する様になった。そんなある日、スペイン軍の兵舎が突然火事に見舞われた。ララ大佐は早速、フィリピン人の逮捕を命じたが、逮捕されて牢獄に入れられた者達の中にフアンも混じっていた。捕らえられた者達は連日に渡る拷問の末、一人、また一人と命を落としていった。やがて、ララ大佐とホセリートは共謀し、彼等の陰謀でフアンは兵舎の火付けの張本人として吊るし上げられた。他の投獄者達もこぞってフアンを名指した。フアンは、自分はやっていないと哀願したが、誰も耳を貸さなかった。やがて広場の中央に引きずり出されたフアンは、兵舎への火付けの罪を着せられ、群衆の前で銃殺の刑に処せられる事になった。フアンは銃で撃たれる刹那、声の限りにマリア・マキリンの名を呼んだ。その声はマリア・マキリンの耳に届き、異変を察知したマリア・マキリンは疾風の如くフアンの許へと飛んでいったが、時既に遅くフアンは銃殺され息絶えた後であった。マリア・マキリンはフアンの亡骸を抱きしめ、むせび泣いた。その後、今度は鬼の形相で周りの群衆を睨みつけ、「お前達、なぜ彼を見殺しにした」と叫んだ。一方、そのマリア・マキリンの剣幕に恐れをなしたララ大佐とホセリートは逃げて身を隠した。しかし、フアンに対する仕打ちを知ったマリア・マキリンはララ大佐とホセリートに呪いをかけた。マリア・マキリンの呪いで、ホセリートは原因不明の病で苦しみ悶えながら死に、ララ大佐はフィリピン人とスペイン兵の戦場でフィリピン人に捕らえられて殺された。マリア・マキリンは、フアンが死んで以降、人間の目の前に現れる事はなくなったという。

出典:
Wikipedia(「フィリピンの神話上の生き物」のページ)
犬のクンクンby河村賢一

作者ひとこと:
マリア・マキリンのデザインは、マリア・マキリンが精霊であるので、上半身と分離した両腕だけの女神、または女性の精霊の姿に描きました。

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