ラルヴァ
ローマ神話に登場する悪霊の一種。ラルヴァは、正しく埋葬されなかった者や、生前に悪行を働いた者の霊である。ラルヴァ達は冥界に行く事が出来ず、死後も地上を彷徨い歩いている。ラルヴァは夜になると彷徨い歩き、生者を見つけると呪い殺す悪霊である。また、ラルヴァを降霊術で呼び出すのは、非常に危険な事であった。また悪霊であるラルヴァは、力の弱い低級の霊であるとも言われており、無駄に流された精液や経血から生まれてくる霊であるとも言われている。ラルヴァは、生きている人間を見つけると襲い掛かり、取り憑いて、その人間の生命力を吸い取るのだという。悪霊であるラルヴァの知能はないに等しく、本能的に煩悩のある人間を探し出すと、実体化して、その人間に纏わり付く。実体化したラルヴァは、人間の胎児や動物、死体、及びそれらを合成した様な姿をとるが、その姿は半流動的で一時として同じ姿をとる事はない。ラルヴァに取り憑かれた者は、様々な病気に陥り、生気がなくなっていく。目は落ちくぼみ、身体はやせ細って、その身体のあちこちに妙な痣や、奇怪な模様が浮かび上がってくる。取り憑いた人間が死んでしまうと、それ以上甘い汁が吸えなくなるので、ラルヴァは、取り憑いた人間を生かさず殺さず扱うという。ラルヴァが狙うのは、気弱な人間や病気の者であったとも言われている。古代ローマでは毎年5月に死者を祀る「レムーリア祭(死霊祭)」が三日間行われ、その時期はラルヴァ達も活発に活動した。5月は死者を悼む月であり、結婚などには向かない縁起が悪い月でもあった。
出典:
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
幻想世界の住人たちⅡ(新紀元社)
作者ひとこと:
ラルヴァのデザインは、2本爪の両手が分離している姿の悪霊の姿に描きました。
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