セイレーン<セイレン、複数形「セイレーネス」、ラテン語「シーレーン」、英語「サイレン」、フランス語「シレーヌ」、ドイツ語「ジレーネ」、イタリア語「シレーナ」、ロシア語「シリェーナ」>
ギリシア神話に登場する幻獣、または怪物の一種。このセイレーンは、海の怪物である。このセイレーンは、上半身が人間の女性で、下半身は鳥の姿をしているとされるが、後世には人間の女性の上半身と魚の下半身という姿をしているとされた。セイレーンは、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航海中の人々を惑わし、その航海中の人々を遭難や難破に遭わせる。また、その歌声に魅惑された挙句、セイレーンに喰い殺された船人達の骨は、島に山をなしたという。セイレーンという名の語源は「紐で縛る」「干上がる」という意味の[Seirazein]ではないかという説が有力である。セイレーンは、2姉妹、または3姉妹、または4姉妹、または5姉妹であるとされている。セイレーンの姉妹の構成員には諸説あり、2姉妹の場合は「ヒーメロペー(優しい声)」と「テルクシエペイア(魅惑的な声)」。3姉妹説ではアポロドーロスが「ペイシノエー(説得的)」「アーグラオペーメー(美しい声)」「テルクシエペイア」を挙げ、ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスもまた[ギリシャ神話集]で、「テルクシエペイア」「モルペー(歌)」「ペイシノエー」を挙げている。あるいは「レウコーシアー(白)」「リゲイア(金切り声)」「パルテノペー(処女の声)」からなるとも言われる。4姉妹説では「テレース」「ライドネー」「テルクシオペー」「モルペー」で構成されている。神話ではセイレーン達は、元はニュンペーで、女神「ペルセポネー」に仕えていたが、ペルセポネーが冥界の王「ハデス」に誘拐された後にペルセポネーを探す為に自ら願って鳥の翼を得たという。他、ヒュギーヌスでは、誘拐を許した事を地母神「デメテル」に責められ、鳥に変えられたとされる。[オデュッセイア]エウスタティウス注では、誘拐を悲しんで恋愛をしようとしなかった為、愛と美の女神「アフロディーテ」の怒りを買い、鳥に変えられたとされる。パウサニアースの[ギリシア案内記]では、女神「ヘラ」の要請で、セイレーンとムーサが歌で競い合い、勝負に負けたセイレーンは、ムーサの冠を作る為に羽をむしり取られたとされる。セイレーン達の住む島については、ホメーロスは魔女「キルケー」の住むアイアイエー島と、プランクタイの岩礁あるいは「カリュブディス」と「スキュラ」の棲む海域の間にあると述べている。またヘーシオドスは、セイレーン達は「ゼウス」によってアンテモエッサ島を与えられたとし、島の名前についても言及しており、ロドスのアポローニオスも[アルゴナウティカ]でそれを踏襲している。セイレーンは、ホメーロスの[オデュッセイア]に登場する。オデュッセウスは帰路の際、彼はセイレーンの歌を聞いて楽しみたいと思い、船員には蜜蝋で耳栓をさせ、自身をマストに縛り付け決して解かないよう船員に命じた。セイレーンの歌が聞こえると、オデュッセウスはセイレーンのもとへ行こうと暴れたが、船員はますます強く彼を縛った。やがて船が遠ざかり歌が聞こえなくなると、落ち着いた船員は初めて耳栓を外しオデュッセウスの縄を解いた。ホメーロスはセイレーンのその後を語らないが、ヒュギーヌスによれば、セイレーンが歌を聞かせて生き残った人間が現れた時には、セイレーンは死ぬ運命となっていた為、セイレーン達は海に身を投げて自殺した。セイレーン達の死体は岩となり、岩礁の一部になったという。またセイレーンは[アルゴナウティカ]にも登場する。英雄「イアソン」らアルゴナウタイがセイレーンの岩礁に近づくと、乗組員の「オルペウス」がリラをかき鳴らして歌を打ち消す事が出来た。しかし「ブーテース」のみは歌に惹かれて海に飛び込み泳ぎ去ってしまった。セイレーンは、人間の女性の頭部と鳥の体を持った人頭鳥身の姿とされる事もある。中世以降セイレーンは半人半鳥ではなく、人魚の様な半人半魚の怪物として記述されている。文献で確認出来る鳥から魚への変化の最初の例は7世紀から8世紀頃の「怪物の書」と言われている。
出典:
Wikipedia
図説幻獣辞典(幻冬舎コミックス)
作者ひとこと:
セイレーンのデザインは、女性の頭と水鳥の身体を持った姿に描きました。
0 件のコメント:
コメントを投稿