自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2019年7月9日火曜日

「地蔵菩薩」



地蔵菩薩(ジゾウボサツ)

仏教の信仰対象である菩薩の内の一尊。地蔵菩薩は剃髪した声聞・比丘形(僧侶の姿)で、眉間のやや上に白毫(ビャクゴウ)があり、袈裟(ケサ)を身に纏った姿をしている。他の菩薩の様に装身具を身に着けず、着けていても瓔珞(ヨウラク。ネックレス)程度。左手に「全ての願いを叶え、欲しいものを出す」とされる宝の珠・如意宝珠(ニョイホウジュ)を、右手には全ての迷いを覚ます錫杖(シャクジョウ)を持った姿か、左手には如意宝珠を持ち、右手には「願いを叶える」を意味する印相・与願印(ヨガンイン)を結ぶ姿とされる。地蔵菩薩はサンスクリット語では名前を「クシティガルバ」と言う。クシティは「大地」、ガルバは「胎内」、「子宮」を意味する。地蔵菩薩は大地が全ての命を育む力を蔵する様に、苦悩する人々を、その無限の大慈悲の心で包み込み救う。また、この菩薩は大地の様に様々なものを生み出す力を秘めており、その菩提心は大地の様に堅固で、衆生(シュジョウ)の代わりに諸々の苦を受けたとしても、その体も菩提心も決して壊れない。地蔵菩薩は釈迦の入滅後から弥勒仏の出現(5億7600万年後か56億7000万年後)までの無仏世界で活躍し、無仏世界に産まれた者達を救う衆生救済の為、あらゆる場所に様々な姿に変化して現れる。その範囲は六道の全ての世界が対象で、地獄に落ちた者達をも救済する。この時、地蔵菩薩は如来に次ぐ高い見地だったが、「一斉衆生済度の請願を果たさずば、我、菩薩界に戻らじ」との決意で、その地位を退き、六道を自らの足で行脚し、救われない衆生や、親より先に死去した幼い子供の霊を救い、旅を続けている。親より先に死んだ幼い子供達は三途の川を渡れず、賽の河原にいるが、地蔵菩薩は賽の河原に率先して足を運び、子供達を虐める鬼から子供達を守り、子供達に仏法や経文を聞かせて徳を与え、成仏への道を開いていくなど、この菩薩は最も弱い立場の者達を最優先で救済する菩薩であり、古来より地蔵菩薩は絶大な信仰の対象であった。地蔵菩薩は元はバラモンの家系の娘だったが、一心に念じて、地獄から母を救い出す功徳を積んだ。また「地蔵菩薩本願経」によると、昔インドに大変慈悲深い二人の王がいた。一人は自らが仏となってから人々を救おうと考え、後に一切智成就如来という仏になった。だが、もう一人の王は先に人々を悟りの境地に渡してから、自らも悟ろうと考えた。その王が後に地蔵菩薩になった。地蔵菩薩の霊験は膨大にあり、人々の罪業を滅し成仏させたり、苦悩する人々の身代わりになって救済する。中国では偽経とされる「閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経(エンラオウジュキシシュウギャクシュウショウシチオウジョウジョウドキョウ)」や「地蔵菩薩発心因縁十王経(ジゾウボサツホッシンインネンジュウオウギョウ)」によって、道教の十王(地獄において亡者の審判を行う裁判官の様な十尊の尊格)思想と結びついて、中国においては地蔵菩薩は十王の内の一尊・閻魔王と同一の存在であるという信仰が広まった。閻魔王は地蔵菩薩として人々の様子を事細かに見ている為、地獄で綿密に死者を裁く事が出来るとされ、泰山王(太山府君)と共に十王の中心に据えられた。その為、中国においては地蔵王菩薩と呼ばれ、主に死後(地獄からの)の救済を願って冥界の教主として信仰される。明の時代に大成した小説「西遊記(サイユウキ)」では冥界を司る。地蔵王菩薩が孫悟空(斉天大聖)の暴れっぷりを、地獄から天界にいる玉皇大帝に上奏する場面が描かれている。日本においては浄土信仰が普及した平安時代以降、極楽浄土への往生が叶わない衆生は必ず地獄へ堕ちるという信仰が強まり、地獄菩薩に対して地獄における責め苦からの救済を欣求(ゴング)するようになった。この菩薩は六道を巡りながら人々の苦難を身代わりとなって救う、代受苦の菩薩とされた。また、際立って子供の守護尊とされ、「子安地蔵」と呼ばれる子供を抱く地蔵菩薩や小僧姿の地蔵菩薩もある。賽の河原で獄卒に責められる子供を地蔵菩薩が守る姿は、中世より仏教歌謡「西院河原地蔵和讃(サイノカワラジゾウワサン)」を通じて広く知られる様になり、子供や水子の供養において地蔵信仰を集めた。関西では地蔵盆(地蔵菩薩の縁日)は子供の祭りとして扱われる。また地蔵菩薩と道祖神(岐の神)が習合した(平安後期以降、往来に置かれた道祖神は道標の役割を持つようになり、仏教の六道輪廻の観念から六道に迷った衆生を救う地蔵菩薩信仰が民間で盛んとなり、これらの地蔵菩薩と道祖神信仰が結びついて、地蔵菩薩の像を町外れや辻に「町の結界や守護神」として建てられる事も多い)為、日本全国の路傍で地蔵菩薩の石像が数多く祀られた。

出典:
Wikipedia
神の文化史事典(白水社)
仏教画伝 極彩色で蘇った一〇八の仏像(G.B.)
エソテリカ事典シリーズ(1) 仏尊の事典(学研)

作者ひとこと:
地蔵菩薩のデザインは、手に錫杖と如意宝珠を持った僧侶の姿の菩薩に描きました。

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