自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2020年11月27日金曜日

「息壌」


息壌(ソクジョウ)<息土(ソクド)>

中国神話に登場する魔法の土、または土の怪物。息壌の「息」という字には「生きる」という意味があり、その名前の通り、この息壌は生きている土である。中国神話では、この息壌は「天帝(テンテイ。中国における天上の最高神)」の至宝の一つであり、至宝である息壌は秘密の場所に隠されていたという。この秘密の場所に隠されている息壌は、代々の帝王の厳重な管理下にあり、その息壌は、通常は何らかの手段で眠らせている状態にある。しかし、一度解放されると、息壌は自ら増殖する能力を有している為、眠りから醒まされた息壌は、絶えず休む事なく増殖し続ける。その為、この息壌は洪水対策の秘密兵器であり、この息壌さえあれば堤防を築く資材に困る事は無かった。しかし、この息壌を使用する為には帝王の許可が必要であった。神話によると、天帝が「堯(ギョウ)」であった時代に22年間にもわたる大洪水が地上を襲った事があった。この時、堯から治水を命じられた「鯀(コン)」という神は、洪水の被害を見かねて、この息壌を盗んで洪水を治めようとした。鯀の盗んだ息壌の量はごく僅かであったが、その息壌はどんどん増殖して巨大な堤防となり、その堤防で洪水を塞ぐ事も出来て、鯀の治水工事は成功したかに思えた。しかし、洪水を治めたのは一時的なものにすぎず、やがて再び洪水が発生してしまった。しかも、鯀は、息壌を盗んだ罪に問われて、その罪によって鯀は「祝融(シュクユウ)」という神によって殺された。こうして鯀の治水工事は失敗に終わったが、その治水工事を引き継いだのは、鯀の息子である「禹(ウ)」であった。禹は息壌も使用しながら、しかし、鯀とは異なり、洪水の根本的な解決方法を目指した工事を行って、遂に洪水の治水を成功させたのであった。この神話には、様々なバリエーションがあり、その一つには、鯀は堯ではなく「黄帝(コウテイ)」から息壌を盗んだという。黄帝は、その鯀を罰する為、祝融を派遣し、祝融は羽山という所で鯀を処刑した、という。また別の神話では、禹は天国へと向かい、そこにいる黄帝に懇願し、黄帝から禹は、魔法の亀の背に乗せられるだけの息壌を譲り受け、それを持って禹は、大洪水の元となっていた233559ヶ所の泉を塞ぐ為に息壌を使った、という。

出典:
Wikipedia
神魔精妖名辞典
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
息壌のデザインは、ムクムクと蠢いている土の怪物の姿に描きました。増殖した土の集合体というイメージがあったので、沢山の顔が浮かび上がっているデザインにしました。

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