自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2020年11月28日土曜日

「夔」


夔(キ)<夔牛(キギュウ)>

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の大荒東経に記されている怪獣または神獣。夔は、東海にある流波山という山の頂上にいる獣である。この夔は、牛に似た姿の獣で、その頭には角は無く、また脚も一本しか無い。夔の体は青みがかった灰色をしており、その体からは日月の様な強い光を発している。また夔の目からも太陽の様な光を発している。また、夔は口を大きく開けて鳴き声を上げるが、この夔の鳴き声は雷鳴の様な鳴き声である。この夔は一本脚なのに海を自由に泳ぎ、また夔は、泳いでいる時や、海に出入りする時に必ず、自分の周囲に強風と大雨をもたらす古代中国の神話時代の帝王「黄帝(コウテイ)」は、「蚩尤(シユウ)」という神と天下を争い、「涿鹿の戦い(タクロクノタタカイ)」という戦争で、黄帝の軍と蚩尤の軍が戦った時、黄帝は自分の軍の士気を高め、相手の蚩尤の軍の士気を低下させる為、軍鼓を作った。この軍鼓を作る為、黄帝は、まず夔を捕らえ、その夔の皮を剥いだ。夔の皮で作った軍鼓を、雷獣(ライジュウ)という獣の脚の骨で作った撥で叩くと、その音は、500里先にまで轟き、響き渡り、その轟音の様な軍鼓の音は蚩尤軍を驚愕させ、蚩尤軍の、その心の中に恐怖を植え付けた。後漢時代の儒学者・文字学者である許慎(キョ シン)の作である部首別漢字字典「説文解字」の第五篇下における解説では、この夔は「竜の様な姿をしていて角がある」とされている。中国の聖獣・白沢(ハクタク)が述べた魔物などの名を書き記した「白沢図(ハクタクズ)」によれば、夔は「鼓の様で、一本足である」という。この夔というのは、元は古代中国の殷の時代に信仰された神で、「夔龍(キリュウ)」と呼ばれる龍神の一種であった。この夔龍は、一本脚の龍の姿で表され、夔龍の姿は鳳(ホウ)と共に銅鏡などに刻まれた。鳳が熱帯モンスーンを神格化した降雨の神であった様に、夔龍もまた降雨に関わる自然神であったと考えられており、夔が山海経で強風と大雨をもたらすとされるのも、その名残と思われる。後に、その姿が一本脚の牛の姿で表されたのも、牛が請雨の為に龍神に捧げられた犠牲獣であった為とされている。また夔の一本脚は、天から地上へ落ちる一本の雷を表すとも言われる。また夔は、中国神話において、古代中国の神話時代の帝王である「堯(ギョウ)」と「舜(シュン)」の臣下である神としても登場する。この夔は、楽官(朝廷の音楽に関する事を司る官吏)として音楽を司り、若者達に教えたという。夔が石の楽器を打って演奏すると、鳥獣達が、その音色に従って舞ったと言われている。また、この楽官の夔も一本足であるという。また、この夔は春の神でもあり、春雷と関係が深く、やはり前述の通り、この夔の一本足も、天から大地へ落ちる電光を表しているのだという。また、この夔の音楽で鳥獣を舞うというのも、農耕社会において春を祝う祭典での歌舞と関係があるという。

出典:
Wikipedia
神魔精妖名辞典
幻想類書
フランボワイヤン・ワールド
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
夔のデザインは、山海経の記述通り、一本脚の角の無い牛の様な姿の獣に描きました。

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