自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2019年6月19日水曜日

「ガルーダ」



ガルーダ<ガルダ、ガルラ、ヴァイナテーヤ、ガルトマーン、スパルナ、ラクタパクシャ、スレーンドラジット、ラサーヤナ>

インド神話に登場する、炎や太陽の様に光り輝き、熱を発する神鳥。その姿は単に鷲(ワシ)の姿だったり、人間に翼が生えた姿で描かれたりするが、一般的には頭と嘴(クチバシ)、手足の爪、翼が鷲の鳥頭人身の姿で、顔は白く、翼は赤く、金色に輝く身体を持った巨大な姿で描かれる。ガルーダの母は聖仙カシュヤパの妻ヴィナターである。創造神プラジャーパティの一人、ダクシャにはヴィナターとカドゥルーという二人の娘がいた。二人は共に聖仙カシュヤパに嫁ぎ妻になった。しかし、ヴィナターとカドゥルーの姉妹は仲が良くなかった。あるときカシュヤパは二人の願いを叶えると約束し、カドゥルーは1000匹のナーガを息子とする事を望み、ヴィナターはカドゥルーの子達より優れた二人の息子を望んだ。やがてカドゥルーは1000個の卵を、ヴィナターは二個の卵を産んだ。二人は卵を500年温め続け、やがてカドゥルーの卵からは次々と蛇のナーガ達が産まれた。まだ子供が産まれないヴィナターは焦り、自分で一つの卵を割ってしまう。卵の中からは、まだ身体が完全に出来ておらず上半身しかない子供、暁の神アルナが出て来た。不完全なまま卵から出されたアルナは母のヴィナターを憎み、母に対して500年の間、競った相手の奴隷になるという呪いをかけた。ある日ヴィナターとカドゥルーは乳海攪拌(ニュウカイカクハン)から生まれ、太陽を牽引する馬ウッチャイヒシュラヴァスの色について、この馬は何色かという賭けをした。負けた方は勝った方の奴隷となる約束である。ヴィナターは馬の全身が全て白いと主張したのに対して、カドゥルーは馬の体は白いが尻尾だけ黒いと主張した。実際にはヴィナターの言うとおり全身が白い白馬なのだが、絶対に負けたくないカドゥルーは息子のナーガ達に命じてナーガ達の体を黒く染め、馬の尾に絡みついて黒く見せたイカサマをした。二人は馬を確認に行くと馬の尾は黒かった為ヴィナターは賭けに負け、カドゥルーの奴隷になった。やがてヴィナターのもう一つの卵からガルーダが産まれた。ガルーダは自力で卵を割って出て来て、産まれてすぐ巨大な鳥の姿になり、強い光を放った。ガルーダの光に神々は震え上がり、神々はガルーダを賛美してガルーダの放つ光と熱を収めさせた。ガルーダは母の元へ飛んで行くと、そこで目にしたのはカドゥルーやナーガ達から奴隷として扱われている母ヴィナターの姿だった。ガルーダは母に対して何故このようになったのか尋ねた母から、カドゥルーとナーガ達のイカサマによって奴隷となった事を聴くとガルーダは、イカサマによって母を奴隷にしたナーガ達に対して強い憎しみを抱き、同時に母を自由にしてあげたいと考えた。そこでガルーダはナーガ達に母を解放して欲しいと懇願した。するとナーガ達は飲んだ者に不死が得られる聖水アムリタを持ってくれば願いを叶えてやると約束した。ガルーダは母の為、アムリタのある天界へと飛んだ。ガルーダが天界に乗り込むと、神々はアムリタを守る為ガルーダに襲い掛かった。しかし、襲い掛かった風神であり戦神のヴァーユはじめ多くの神々は、ガルーダに打ち倒された。アムリタを守る多くの罠もガルーダはすり抜けて突破し、ついにガルーダはアムリタを手に入れた。しばらく行くとヴィシュヌと出会った。ヴィシュヌはガルーダの勇戦を見ており、ガルーダのその勇気と力に感動しガルーダを認め、ガルーダの願いを叶えてやる代わりにヴィシュヌはガルーダに自分のヴァーハナ(乗り物)にならないかと申し出た。ガルーダはヴィシュヌの申し出を受け入れ、ガルーダはアムリタを使わずとも不死を得たいと願った。ヴィシュヌはこの願いを承知し、ガルーダはヴィシュヌによって不死となった。それ以来ヴィシュヌとガルーダは主従関係でヴィシュヌは自分のヴァーハナをガルーダにした。ついに母の元に戻ろうとするガルーダの前に、神々の帝王インドラが襲い掛かって来た。インドラは手に持ったヴァジュラ(金剛杵)から多数の激しい雷をガルーダに向けて放つが、ガルーダはこれをものともしない。インドラはヴァジュラが全くガルーダに効かないのを見ると、ガルーダに永遠の友情の誓いを申し込んだ。ガルーダも自分の強さを鼻にかける事をせず、インドラに敬意を表し、自ら羽根を一枚抜き落とした。ガルーダもインドラも共に相手との友情を望み、永遠の友情を結んだ。ガルーダは友になったインドラの頼みに応じ、ナーガ達から母を解放できればアムリタを天界に返すと約束した。代わりにガルーダもインドラに、自分は憎きナーガ達蛇族を常食にしたいと申し出て、それもインドラに承認された。そして一旦、約束を守る為にガルーダはアムリタをナーガ達の元に持ち帰った。そしてアムリタをクシャ草の上に置いた。そしてナーガ達にアムリタを飲む前には清めの沐浴をしてから飲まねばならないと告げた。ナーガ達は喜び、母ヴィナターは解放された。ナーガ達が沐浴をしている隙に約束通りインドラが現れ、アムリタを天界に持って行った。沐浴し終わったナーガ達は騙された事に気付いたが、最早どうしようもなかった。それでも諦めきれないナーガ達は、どうにかしてアムリタを舐めようとアムリタの置かれていたクシャ草を舐め回したが、この時、鋭いクシャ草がナーガ達の舌を二つに裂いてしまった。それ以来ナーガをはじめとした蛇達の舌の先が二股になった。ガルーダは人々に恐れられているナーガ達をはじめとした蛇、竜達を食べる、または退治する聖鳥として人々に崇拝されている。仏教では迦楼羅天(迦楼羅王(カルラオウ)、食吐悲苦鳥(ジキトヒクチョウ)とも)と呼ばれ、釈迦如来の眷属である八柱の神々、天竜八部衆の一員である。また千手観音の眷属である二十八部衆の一員でもある。迦楼羅天は仏法守護の神で鳥頭人身で有翼、時には四本の腕を持つ。龍や蛇を踏みつけており、篳篥(ヒチリキ)や横笛を吹く事もある。口から金の火を吹き、赤い翼を広げると336万里にも達する。ガルーダがヴィシュヌのヴァーハナであったように、迦楼羅天も那羅延天(ナーラーヤナ、ヴィシュヌの異名)の乗り物を務めている。仏教において毒蛇や雨風を起こす悪龍は煩悩の象徴とされ、龍や蛇を常食としている迦楼羅天は毒蛇、悪龍から人々を守り龍蛇を喰らう様に衆生の煩悩(貪・瞋・癡の三毒)を喰らう霊鳥として信仰されている。密教では迦楼羅を本尊とした修法で降魔・病除・延命・防蛇毒に効果があるとする。また祈雨・止風雨の利益があるともされる。また不動明王の背後の炎は迦楼羅天の吐く炎、または迦楼羅天そのものの姿であるとされ、「迦楼羅炎」と呼ばれる。

出典:
Wikipedia
神の文化史事典(白水社)
ゼロからわかるインド神話(イースト・プレス)

作者ひとこと:
ガルーダのデザインは、鳥の翼を持った鳥頭人身の姿に描きました。片手にアムリタの入った壺を持っています。

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